END案が残っていたのでもってきてみました。
軍人になってから数年間での出来事なので、追想にあたる部分で完結することを前提とした内容です。
2年前のものなので文章の書き方からして少々くどいというか一文が長い。
今もまだ一文が長いようなので、すっきりとした文章を書けるようになりたいです。
END1
ジンの肩から腕に刻まれた刺青はやがてジンを蝕む。以前の面影がなくなり誰かの助けが必要な状態で、最後に自由になることを許されながらもアカツキはそんなジンを守りつつトップの座を勤めた。
たとえこのままジンが一人で死んでいってしまったとしても忘れないだろう。ふと現れてすべてを浚っていったあの視線を。そう思った。そしてその後に追っても同じ場所にたどり着けないことは知っていた。
信じて、待って、何度も語りかける。ある日かすかに意識が覚醒した時、ジンは何故こうしてまで自分のそばにアカツキがいるのか、認識できずに僅かに瞠目した。
空気だけが流れても、言葉にできるものなど何一つなく、固体はいつまでも繋がることができずに強く存在し、単純にたとえば一緒に滅びるだとか、そういうことで二人が最後まで一緒にいたその形で、何かが見えそうな気がした。
やがて記憶が錯乱していきエリアともども滅びる。やっとすべてが終わるとき。
END2
アカツキは結局最後まで残っていた己の中の殺意にならいジンに斬りかかり、どちらかが息絶えるまで刀を交えた。
ジンの笑みは愉悦からくるものなのか、なんなのか、奇妙な亀裂が見えた気がしたがわからなかった。
この名前のわからない心を、断ち切る為にきっとこれが必要なのだろうか、と、ずっと悩んでいたアカツキは静かに思った。別にはっきりと言葉にしてほしいわけでも、形にしたいわけでもなかったはずなのに。
ただ乗せたのは、唯一無二の主をこの手でもっと感じたくなったような、そんな強い感情だった。真っ直ぐに刀を混じり合わせれば出会ったときの、あの腕に響く衝撃や鋭い視線を真っ向から受けられる。アカツキは静かに笑んだ。懐かしく、そしてひどく美しいと思った。
心の奥の誰かが泣き叫んでいることも知らずに。
END3
化け物としての影響が出てきたアカツキの体は表に出られるものではなくジンの部屋で生活する日々が続いた。ジンの支配も尋常ではなく、日々暴力が常だった。今日も太ももへと口付けを静かに受けつつ怯え、より染め上げられていく。
頭痛や眩暈、幻覚、腹が減ることすらもすくなくなり、叫び暴れて、精神的苦痛の臨界が限界を超えては現実へと戻っては人形のようになり。素手で割った硝子をなんの意味もなく握り締めたり、棚を倒してみたり、シーツやカーテンを引き裂いたりした後恐怖も悲しさもやがて薄れていった。
意識も記憶も途切れる。必要とされていないと思ったその中で新しい遊びを見つけ誘い殺し抱かれると、まだ普通の軍人だった頃の躾のように、体を傷つけられなじられて暴かれる、いつもそっけいないような態度のジンが過剰反応するのを見ながら自らの存在意義を見出した。
離れたときに感じるのは寂しいのではなくただ心の中からすべて抜かれていくような空虚感、空白の中、世界はジン一人で構成されているのだからそれがなくなればただの無になるのは当然だ。
けれど大事なのは求められたいのではなく、唯一離れればぼんやりと声が聞きたい、忍び寄る靴音が聞きたい、こみ上げる感覚に酔いたい気分にはなる。
すべてもうどうでもいいとなってしまった時は、ジンの元へ何度も帰って来た自分を思い出して、必要とされるかされないかではなく、ただ生きなければ、哀れで悲しい主の隣にいなければと、いたいと、届くか届かないかではなく、それでいい、そして最後にはその狂気の炎に焼き尽くされればそれでいい。
が狂気のゆく末はまずアカツキから目に見える世界を奪った。両目が見えなくなったアカツキは素直にジンの帰りを待ち、抱かれて、食事をとった。
その後、アカツキの体に異変が起きてお腹が膨れ上がりありえないと思ったが、確かに何かを孕んでいた。その後体調はどんどん悪くなりやがて産卵したのち、明らかに体が弱っていった。気を抜くと朦朧とする世界の中ただ暗闇の中で赤が聡明に輝いていた。その赤は笑んでいた気がした。魔王は怪物へと姿を変えた。
END4
ジンはやがていつか見た男のように瞳の色が変わり、表上変わらなくとも凶暴に変化していった。表の日常は変わらなかったがすべてアカツキにとっては圧倒的に変化した。
いつもアカツキに噛み付いてくるその牙が本当に肌を突き破る日も少なくなかった。体が先に壊されていく勢いで破壊衝動からの暴力が増していき、それでもアカツキは必死に受け止めた。主に呪いがあるなら自分もその呪いを受けるべきだ。
激しい快楽と痛みと共に恐怖にも落とされていく。必死に怖くない、狂気の中で荒れ狂う感情に、そしていつかの男への憎しみで苦しいのは主だと。
そんな中で移動したエリア内も侵食されていき終わる中、任務中だったアカツキはその侵食と共にまず先にジンの手によっても命を沈められていく。
最後に微笑んだ。こうして貴方に完全に支配されたかったと。